Scene.1 「人間の土地」（映像）

人間の土地には、十字架が立つ。
私たちの世界を巡らせている柱と線はまるで血管のようだ。

Scene.2 「ロトの妻」（素材：塩)

「一刻も早く町の外に脱出し、低地に留まらず山中に逃れよ。
決して後ろを振り返るな」

しかし、ロトの妻はうしろを振り返った。

人々の悪徳に対する審判として神の火に焼かれ滅びた都市「ソドム」。
神は善人ロトとその妻と二人の娘だけは助けようと、
天使を送り込み、逃げるよう告げたのだった。

しかしその忠告に叛いたロトの妻は、
塩の柱に変わり果てて死んでしまう。

なぜ、後ろを振り返ったのか？

この話は、愚かさ、弱さ、信心への戒めとして語られることが多い。
しかし、振り返る行為は、弱さなのか？

彼女は、みずから振り返ることを、
選んだのではないか？

そして、「塩」無しには私たちは生きられない。

Scene.3 「深遠なる庭園にて」（素材：枯れ草・糸）

踏んでも気づきさえしないようなところにも、命の世界がある。
それらと私たちは繋がっているし、よく似ている。

生まれ死に、めぐり、また生まれる。